自動思考とスキーマは認知行動療法(CBT)で扱われる重要な概念。自動思考は、出来事に対して瞬間的に頭に浮かぶ思考やイメージのことで、スキーマは、過去の経験から形成された価値や信念、つまり「心の法則」のようなもの。スキーマは自動思考の傾向(クセ)に影響を与え個人の感情や行動パターンを形成する。
自動思考 (Automatic Thoughts)
- 定義:ある出来事や状況に対して、意識的に考えなくても自動的に頭に浮かんでくる思考やイメージのこと。
- 例:
- 「メールの返信が遅い」→「嫌われているのかな?」
- 「会議で発言したら笑われた」→「もう二度と発言しないでおこう」
- 特徴:感情や気分に影響を与えやすく、特にネガティブな自動思考はうつ病などの精神疾患と関連することもある。
スキーマ (Schema)
- 定義:過去の経験や学習によって形成された、比較的安定した信念や価値観のこと。自己、他者、世界に関する基本的な考え方を含む。
- 例:
- 「自分には価値がない」という自己スキーマ
- 「人は信用できない」という対人スキーマ
- 特徴:
- 自動思考の傾向(クセ)を形成する。
- 無意識のうちに出来事の意味を解釈し、感情や行動に影響を与える。
- スキーマがネガティブな場合、自動思考もネガティブになりやすくうつ病や不安障害などの原因となることがある。
自動思考とスキーマの関係
- スキーマは、自動思考の根底にある「心の法則」のようなもの。
- スキーマが活性化されるとそれに合致する自動思考が浮かびやすくなる。例えば、「自分には価値がない」というスキーマを持つ人は「失敗したらどうしよう」といったネガティブな自動思考を持ちやすくなる。
- 認知行動療法では、自動思考に気づき、その根底にあるスキーマを特定し、修正することで感情や行動の改善を目指す。
スキーマ療法 (Schema Therapy)
- 認知行動療法の一種で、自動思考だけでなく、その根底にあるスキーマに焦点を当てた治療法。
- 過去の体験から形成されたネガティブなスキーマを特定し、それを修正することで生きづらさを改善することを目指す。
- スキーマ療法は時間をかけてじっくりと取り組む治療法。
まとめ
自動思考とスキーマは認知行動療法において重要な概念。自動思考は出来事に対する瞬時の思考、これに対し、スキーマは過去の経験から形成された信念や価値観。スキーマは自動思考の傾向に影響を与え個人の感情や行動パターンを形成する。認知行動療法では、自動思考に気づきスキーマを修正することでより柔軟な考え方や行動ができるようになることを目指す。
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